奪 わ れ た 王 女 ( 3 ) 初 稿


 いつもなら あまり推奨しないのですが、コレに関しましては、決定稿 と読み比べてみると面白いかもしれません。(開き直り) 当時の執筆メモなんかも眺めてみると さらに面白いかもしれません…。

 「謎のバンダナ少年剣士」ことアリストフ(アリス)君について。
 彼は次回作「ルインリリース(仮)」の主人公君です。一足お先に「四伝」にゲストとして登場させてみたのでした。その前に、チャットTRPGで演ってたキャラなので、ラクガキ はけっこう表に出していたりしました。その所為か、「彼」が出てきたときの反応は比較的良かったです(笑)
 剣士として登場していますが、本業は格闘家です。剣も使えないことはないっぽいですが。TRPGでは飛び蹴り&ハリセン殴りで戦ってました(笑) というか「剣」はボケに対する峰打ち専用ツッコミ小道具だったような…。
 ちなみに2部から登場する医者「エンリッジ」もルイリリキャラです。こいつはRPG版の主人公です。

 ※ 当時 ( 2007/6/15 ) の執筆メモ

 この話、元タイトルは「奪われた王女」だったのですが、展開変えることにしたので「狙われた」に(とりあえず)変えてみました。だって「奪われた」って…ネタバレじゃないか。サンノベ時代はあっさり奪われてくれたのでまあ良いのですが(良いのか)、今回は奪われるまでに多少色々ありましてね…(結局ネタバレ)
 「多少色々」の部分は、(1)(2)と、とても楽しく♪書けたのですが、(3)で筆が止まってしまいました。調子に乗ってあれも書こうこれも書こう…と欲を出したのがいけなかったらしい。もう少しポイントを絞ってあのシーン、再構成してみるか…。
 というわけで、昨日書いた(3)の「第1稿」を多分ほとんどボツにしますが、いつの日かネタとしてさらせるように(笑)どこかに保存しておきます、第1稿。


 その集団は、王女たち一行の行く手を阻むように街道に立ちふさがっていた。三人は鎧を身につけ、兜を目深に被り、剣を抜いて構えていた。その三人の後ろに、ローブ姿の別の三人が控えていた。フードを目深に被り、武器は持っていないようだった。ローブ姿の三人は精霊使いなのだろうか。六人とも顔が良く見えない所為で、年齢も性別も不明。体格は背の高い者もいれば太っている者もいて、皆バラバラだった。
 ずっと遠くに三匹の乗用陸鳥ヴェクタが見えた。そのうちの一匹に、ローブ姿の人物が乗っていて、こちらをうかがっていた。
 「ついに来たか……。どうする?」乗用陸鳥ヴェクタを止めて、キリアが誰にともなく聞いた。
 「話し合いで解決できると良いんだけど」リィルが呟く。
 「そう上手くいくかってんだ」バートが言う。「邪魔するやつらは邪魔だから倒すのみ、だな」
 「サラはここに残って、キリアはサラについてて。まずは俺とバートで様子見てくるから」
 リィルはそう言って、乗用陸鳥ヴェクタから飛び降りた。バートも続く。
 「気をつけてね」サラが二人に声をかける。
 バートとリィルは集団に近付いていった。三人の剣士と三人の精霊使いは、バートとリィルをじっと見守りつつ動かなかった。
 「これ、邪魔だなあ」
 バートとリィルが十分に近付いたところで、剣士のうちの一人、三人の真ん中に立っていた背の低い剣士が突然声を発した。少年の、ちょっと高めの声だった。少年はおもむろに兜を脱ぎ捨てた。オレンジ色のバンダナをつけた少年の顔が現れた。バートたちより年下に見えた。
 「おい、いいのか」
 「大丈夫ですよ。僕顔割れてませんし」
 傍らに立つ体格の良い剣士に返事をして、バンダナの少年はマイペースに屈伸運動を始めた。バートとリィルはちょっと呆気にとられてしまった。
 「あのー」リィルは少年に声をかけてみた。
 「貴方たちは、こんなところで一体何を」
 「あ、それは、もちろん」少年は屈伸運動を止めると、屈託のない笑顔を浮かべた。
 「ピアン王女ご一行さまが通りかかるのを待っていたんですよ。今朝はまあちょっと、手違いがあったみたいなんですけど」
 そこまで言って、バンダナの少年はちらりと後方を見やる。
 「もう失敗は許されないんですよ。うちのリーダー怒らすと怖いんで」
 「つまり、ピアン王女をさらうのが目的ってことか?」
 「はい」バートの問いに、少年は大きくうなずいた。
 バートは短くため息をついて剣を抜く。
 「……素直なのは良いけどなあ、」
 バートは少年に向けて剣を繰り出す。
 「やって良いことと、悪いことってのが、あるだろーがよっ!」
 少年はバートの剣をひらりとかわすと、自分の剣を繰り出してきた。バートの剣がそれを受け止める。
 「やあっ!」
 バートの気合の声と共に、バンダナの少年の剣が弾き飛ばされた。少年は驚いたようにバートを見た。
 「すごい力ですね。良いなあ。僕ももっと力つけたいなあ」
 「大人しく降参するってんならこれ以上は攻撃しねーけど。他にかかってくるのはどいつだ? リィル、めんどくせーから一気にやっちまうか?」
 「バート、頑張れ! まかせた」
 「誰が降参するって言いました?」
 バンダナの少年が突然、素早く動いてバートに飛び蹴りを放ってきた。
 「な……?」
 バートは辛うじて避けたが、脇腹にわずかに衝撃を感じた。少年は着地すると、再び間合いを詰めてきてバートに拳を叩き込もうとしてくる。
 「お前っ……!」
 「僕、剣よりこっちのほうが得意なんです」
 少年の素早い連続攻撃に、バートは防戦一方になってしまう。
 (バートと互角の勝負ができるなんて……)
 リィルも驚いてバートと少年の動きを目で追っていた。


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